あんず先生のプチ解説コーナー【所得税の種類~不動産所得 事業所得】
【所得の種類】 ①利子所得 ②配当所得 ③不動産所得 ④事業所得 ⑤給与所得 ⑥退職所得 ⑦山林所得 ⑧譲渡所得 ⑨一時所得 ⑩雑所得
前回に続き、今回は所得の中の「不動産所得」と「事業所得」について説明しますね。
【不動産所得】
〇不動産所得とは?
次のような貸付けなどによって得られる収入がある場合、「不動産所得」に分類されます。
(1)土地や建物などの不動産の貸付け
(2)借地権など、不動産の上に存する権利の設定および貸付け
(3)船舶や航空機の貸付け
個人で(1)~(3)のような収入がある場合は、「不動産所得」として扱われます。
今回は、多くの方が該当しそうな(1)についてお話ししますね。
あんず先生、私知っていますよ! 私のおじいちゃんが、一室だけ空いている部屋を貸していて家賃収入があるんです。これが「不動産所得」なんですよね?
そうね😊それが「不動産所得」です。
でも、「不動産所得」って、青色申告をすると税金が安くなるって聞いたんですけど、おじいちゃんは青色申告はできないって言われたみたいなんです。 そのあたりがよく分からなくて・・・。
「不動産所得」も、これから話す「事業所得」も、一定の要件を満たせば、青色申告によって節税が出来るの。
でも、おじいさんの場合は、その要件を満たしていなかったから、青色申告ができなかったのかもしれないわね。
要件があるんですか? どうすれば節税できるんでしょうか?
その前に、まずは「不動産所得」の所得の計算方法を見ていきましょう。
※青色申告の詳細については、また別の回で説明します。
〇不動産所得の金額
「不動産所得」は、次の計算式で求められます。
総収入金額 - 必要経費 = 不動産所得の金額
■「総収入金額」に含まれるもの
貸付けによる賃貸料収入のほかに、次のような収入も含まれます。
1.名義書換料、承諾料、更新料、頭金などの名目で受け取るもの
2.敷金や保証金などのうち、返還の必要がないもの
3.共益費などの名目で受け取る電気代、水道代、掃除代など
■「必要経費」に含まれるもの
必要経費として認められるものは、不動産収入を得るために直接必要な費用であり、家事関連の費用と明確に区分できるものです。
主なものとして、貸付資産に係る以下のような費用が挙げられます。
・固定資産税
・損害保険料
・減価償却費
・修繕費 など
へぇ~そうなんですね!
ということは、おじいちゃんが貸している不動産の収入から、経費を引いた残りが「不動産所得」ってことになるんですね。
経費が引けるのって、ありがたいですね。
【事業所得】
〇事業所得とは
農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業など、さまざまな事業を営んでいる人が、その事業から得た所得をのことを「事業所得」といいます。
WEBライターさんや、声優さん、転売をしている人、アフィリエイトをしている人も、「事業所得」になるんですか?
その仕事を、事業として継続的に行っている場合は「事業所得」になるわね。
ただし、会社で働いている人が副業として少しだけやっている場合は、「事業所得」ではなく「雑所得」となることが多いわね。
「事業所得」と「雑所得」って、どう違うんですか?
「雑所得」については別の回で詳しく説明しますが、「事業所得」と「雑所得」の大きな違いは、節税が出来るかどうかです。
そして、「事業所得」として認められるかどうかは、その活動が”社会通念上、事業といえるかどうか”で判断されるの。
えっ?
”社会通念上事業、事業といえるかどうか”って、どういう意味ですか?
まりさん、例えば―――
毎日9時から18時までしっかり商売をしている人と、空いた時間に少しだけ副業としてやっている人がいた場合、どちらの人が「事業をしている」って思う?
それは、毎日9時から18時まで商売をしている人です。
そうよね。一般的にも、そういうふうに考えると思うわ。
つまり、「事業所得」と「雑所得」の違いは、どれくらい本格的に取り組んでいるかという点が判断基準になるの。
ただ、副業であっても、仕事のやり方によっては「事業」とみなされるケースもあるわ。
以前は、この判断がとても曖昧だったんだけど、最近は明確な判断基準が設けられたの。
それが、「帳簿書類の有無」による判定です。
副業で得た収入でも、取引を記帳して帳簿書類を保存していれば、「事業所得」として認められ、記帳や保存をしていなければ、原則として「雑所得」とされるようになったわ。
ただし、帳簿書類の保存がない場合でも、その所得に係る年間収入金額が300万円を超え、かつ事業として認められる実態がある場合には、例外的に「事業所得」と認められることもあるわ。
うーん、ちょっと難しいですね。 つまり、継続して事業を行い、帳簿を記帳して書類を保存していれば、副業でも「事業所得」として扱われるってことでいいですか?
そう、その理解で合っています😊
収入金額が300万円を超えているかどうかも、一つの判断材料になるけど、最も重要なのは「帳簿の記帳と保存がきちんとされているかどうか」という点なのよ😊
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